ラ・トロペジエンヌ

パリから地中海に向かって南下すると突然、気候や建物の色合いが北フランスから、がらっと変わることに気がつかれるかと思います。
マルセイユを中心とした周辺地域がプロヴァンス地方で、イタリア国境に向かって、ニースを中心とした地域がコートダジュール地方です。 建物の特徴は微妙に異なりますが、それはまた追ってお話しましょう。

south france color北フランスも南フランスもそれぞれの気候・風土にマッチし、その地方でとれる石材の色合いが街を彩ります。 北フランスやパリの建物はおさえたトーンの色彩で渋い美しさがあります。 屋根はスレートのチャコールグレー、壁はライムストーンのアイヴォリーホワイトと言ったように。 一方、南フランスの建物は真っ青な空のもと、陽光を一杯受けて、明るい色合いがとても陽気で美しく見えます。 クリーム色、肌色、桃色、橙色、石榴色、等々。 これらの色は天然の石や顔料の色合いなので、決して強烈に見えません。 混じりけが少なく彩度が高いですが、どこか柔らかさを感じる自然な色合いです。
こちらの写真を見ると、古い建物の味がとても良く出ています。 きれいな色合いの漆喰ですが、経年により、朽ちていたり、ガタボコしていたり、天然の石の香りがする空間です。 この中にいると古い建物の温もりに包まれているようで、ほっとして癒されます。 内部、外部共に、ざらざら、でこぼこした質感が時間の移ろう中、光によって様々な陰影をつくり、とても魅力的です。 この「洗練された田舎感」に安らぎを感じる建物が南仏にはとても多いです。 概してフランスの田舎はお洒落な印象を受けます。 ヨーロッパ全般にも言えますが。
日本の都会ではピッカピカの新築の価値が高く、古くなるほど資産価値が下がるのが現状です。 地震のある・なしや、木造と石造建築の耐用・耐久性が違う背景もありますが・・・  
アトリエ アマルフィターナでは現代生活、都会生活で失われがちな「古くなって行く良さ」を経年と共に味わえる建物創りを大切にしてデザインします。
ラ・トロペジエンヌと名付けて、南フランスの明るい陽光と色彩を感じる建物の設計・デザインをご提案しています。